はんぶんこ
近所のコンビニに行く度に幼馴染を思い出す。
このコンビニだからこそ思い出す。
「ねぇ、アイス食べない?」
「うん。いいよ。」
「あたしイチゴ味にするから、チョコ味にしてね。」
「うん。またいつもの“はんぶんこ”だね。」
私たちが幼い頃、良く二人で来たこのコンビニでの決まり文句は“はんぶんこ”だった。
ご飯前は一個だけ買ってはんぶんこしたし、おやつの時間にはお互い買った物をはんぶんこして、二つの味を楽しんだ。
それも今は昔の話。
中学までは変わらずに接していたのに高校生になった今、別々の高校ということもあってか、全く話さなくなった。
会っても話さないどころか避けるまでになった。
家は近いのにお互いの距離は遠く離れているようだった。
そんなこと思っていると目の前に懐かしい姿が。
嬉しい反面、気まずい空気が流れる。
先に口を開いたのは彼だった。
「よぉ。」
ただその一言。
それでも私は心が明るくなるのを感じた。
「ねぇ、また“はんぶんこ”しない?」
返ってきた言葉は
「俺肉まんな。」
だった。
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© 浅海檸檬