虹色最終回




「お兄ちゃん!!早く来て!!」

日本の夏は何故こうも暑いのかと思いながら冷蔵庫を開けたとき、玄関から妹に呼ばれた。

「来てって…何かあったのかー?」

こんなに暑いからか、体は外には出たくないと言っていて、なかなか俺は玄関に行こうとしなかった。

「虹色最終回始まっちゃうよ!?」

そう言った妹はついに我が家のダイニングの扉を開けた。

「暑い暑い!閉めろって!」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ、お兄ちゃん!!」
「虹色最終回ってなんだよ。そんな番組あったか?」
「違う違う!!外!!」

ついに俺は妹に引っ張られ、仕方なく外に出た。



外は太陽が燦々と照っているものの、どこか涼しかった。
足元を見ると地面が濡れている。

「雨、降ったのか?」
「お兄ちゃん知らなかったの!?もう一日中クーラーつけた部屋にいると体に良くないよ!?こんな日に外出ないなんて…ほら、あれ!!」

妹が指さした先には綺麗な虹が出ていた。

「虹色最終回ってこういうことか。」
「うん!綺麗でしょ?」

そう言って俺を見上げる妹。我ながら可愛いと感じた。同時に純粋な妹が羨ましかった。


虹が消えると「消えちゃったね。」と、哀しげに言う妹に俺は言った。

「もう一回見るか?虹色」





俺は庭にあったホースを取り出した。

「ほんとにこんなので虹色見れるの?」
「まあ見てろ。」

俺はホースをシャワーに切り替えた。
そして蛇口を捻り、弧を描くように水を高くあげた。

「あ!虹色!」

そう言って嬉しそうに指さした妹を見て俺は満足した。



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© 浅海檸檬